第1章 新月
『成長したのは認める。でもね佐助
何であのタイミングなのかな?
家康様と一緒だったんだよ?
もう少し待てば一人になったんだよ?』
にこにこ微笑みながら手に力を籠め
ガシッと頭を掴む
『何のためにこの頭ついてんのかな?
これは飾りなのかな?ねえ聞いてるの?』
「スミマセンデシタ」
「怖っ!」
『分かればいいのよ今度からは気をつけてね』
「おい。女」
『葉月です』
佐助の頭から手を離して謙信の方へと体を向けた
「...葉月、お前はなぜ徳川家康と一緒に居た」
『お義父様から家康様の元へ嫁ぐよう言われたからです』
「徳川じゃなくて俺の物にならないかい?」
「はあ!?なに口説いてんだアンタは!?」
「...嫁ぐ...結婚...花嫁...人妻...」
「おいっ佐助しっかりしろ!?」
「お前たち煩いぞ静かにしろ」
『質問にも答えた事ですし、帰ってもよろしいですか?』
「徳川の女と分かった上で俺がお前を帰すと思うのか?」
冷たい言葉と共にピリッとした殺気が肌を刺激した
二つの違う瞳の色に殺気を纏い葉月を睨む
『あら謙信様は私を人質にでもなさるおつもりですか?
残念ですけど私は今日ここに来たばかりです。
それに家康様も信長様に言われていやいや私を引き取ったようでしたし
私が攫われて今頃厄介払いが出来たと喜んでいるかもしれませんよ?』
謙信の殺気を物ともせずににこにこ笑う
『それに...私をその辺に居る女と.....
一緒にするなよ?』
「さすが佐助の姉いい殺気だ。
良いだろう気にいった今日は帰してやる
だが次はお前を攫ってやる」
『勝手にすれば』
家から出て佐助の案内で安土城に帰ると秀吉に散々説教された
今日は桜花の部屋に泊まることになった