第5章 十三夜月
「何だったんだアイツ」
「それよりも桜花」
「何ですか秀吉さん?」
「無茶ばっかりして当分は大人しくしていろよ」
「えぇ!?」
「諦めろ桜花」
「うぅ~分かりました~」
がっくり肩を落として了承した
「こっちの話もまとまった様だな」
「はい」
「では帰るぞ」
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顕如を捕らえてから数週間がたった
葉月は家康の御殿で相変わらず過ごしている
変わったことと言えば家康との距離
出会った当初は会話もなく別々にご飯も食べていたが
最近では寝る以外の殆どの時間を一緒に過ごしている
「おっ!今日も一緒に来たのか?」
今日も登城して仕事中の家康に
文を届けに来た秀吉が二人を見てニコニコと微笑んでいる
「葉月は一人でいると攫われることが多いので」
『御殿に居たらそんなこと無いって言ってるのに』
「なに俺と居るの嫌なの?」
『...嫌なわけない』
「じゃあ問題ないでしょ」
ぷいっと顔をそらして受け取った文に目を落とした
「ははっ仲良いな
おっとそうだ葉月
後で桜花に会いに行ってくれるか?」
『はい。いいですけど
どうかしましたか?』
「最近何かに悩んでるみたいでな
俺が聞いても話してくれないんだ
と言うか俺が避けられてる気がする...」
『分かりました行ってみます』
頼んだぞと言って部屋を出て行った
『秀吉さんて鋭そうで鈍いんだね
桜花の気持ちに気遣いないなんて』
「秀吉さんだからね」
『桜花の為に頑張るね』
「...頑張るのはいいけど俺との時間減らなさいでよね」
『うん。私家康が一番だから心配しないでね』
「別に...」
『心配、してくれないの?』
「はぁ....心配だからなるべく傍に居なよ」
くるりとこちらに振り向き微笑んだ