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許嫁は戦国武将〈イケメン戦国〉

第4章 弓張月


信長たちが戦いだして数刻の時がたった
両者一歩も引かず戦い続ける
そろそろ頃合いかと政宗は劣勢を装い
兵に後退をするように目配せた
それを見て佐助は幸村の元へ伝令を走らせた


「幸村様、信玄様
そろそろお時間でございます」


「おや、もうそんな時間かい?」


「それじゃあ仕上げにかかるとしますか」


「楽しい時間だったぞ石田三成!
さあ天女を返して欲しくば力ずくで来い!!」


「そのようですね。いざ尋常に勝負!」


激しい鍔迫り合いに桜花は声無き悲鳴を上げる
先ほどの穏やかなほほ笑みでの話とはかけ離れた戦いに
体に力が入り瞳をギュッと閉じた


「信玄様そいつ邪魔じゃないですか?」


「天女が抱き着いてくれるのは嬉しいが
確かに戦いの邪魔ではあるな~
誰か天女を見張ってくれる者が居れば良いのだがな~」


「!?信玄様、どうか私にお任せください!?」


「そうか~悪いな~」


間延びした喋り方をしながら桜花を男に託し男の後姿を見送った
チラッと幸村を見ると微かに頷き静かに後を付けていった


°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°


「葉月!?」


『あら、桜花も捕まったの?』


「あ~そうみたい」


手を縛られた桜花は
あははと乾いた笑みを浮かべた


「さあ、姫君達出番だ」


後ろから現れた顕如に連れられて戦場へと向かった
無言で歩く桜花だったが顕如の横を歩く男を見て
チラッと葉月に視線を送った


「ねえ、あれってもしかして...」


『大翔よ』


こそこそと囁きあっていると
大翔が歩くスピードを落とし横に並んだ


「怪我したくなかったら大人しくしてろ」


「うわぁ~悪役が言いそうなセリフだね」


「今は悪役だからな」


回りに聞こえない音量で囁きあっていると
顕如が後ろを振り向いた


「どうかしたのか?」


聞くと顕如がくいっと顎で示した
その先に信長と謙信が戦っている


「信長よ、その首いただくぞ!?」


顕如はそこへ軍勢で横から奇襲を仕掛けた
が、不適に笑う信長と謙信
二人の合図で軍勢に弓矢が放たれた
罠に掛かったのは顕如の方だった


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