第4章 弓張月
「信玄様!助けていただきありがとうございます!!」
「可愛い天女の役に立てて良かったよ」
「お前なんでこんなところにいるんだよ」
「私だって好きで此処にわけじゃないよ~」
桜花の馬に追いついた信玄が
手綱を引いて馬を落ち着かせてくれたおかげで
やっと降りることができ今は信玄の馬に一緒に乗せられている
「幸運を呼ぶ?」
「はい。そう言われて連れて来られました」
「お前さあ人に幸運呼んで
自分が不幸になってねえか?」
「うぅ~そんな気がする...」
「では俺が天女に幸せをあげよう」
前に乗っている桜花の腰をグッと引き寄せた
不意に抱きしめられ頭を上げる
口角を上げた信玄の顔が目の前にあった
「うきゃ!!ちょっ!近い近いです!?」
「何やってんだアンタは!」
「なにって口づけをしようかと思っているが
何か問題でもあるのか?」
「大ありだ!」
「大ありです!!」
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「ただいま戻りました」
日が沈み佐助が偵察から帰ってきた
戦は一旦収まりそれぞれの自分の本陣へと下がっていく
「おーおかえり佐助」
「おかえりなさい佐助君」
「桜花さん無事でよかった」
「佐助、収穫は?」
幸村と桜花が佐助を出迎えていると
静かな声で謙信が聞いてきた
「はい。我々以外の第三者がこの戦の主導権を握っています」
「ふざけた真似を、俺の邪魔は誰にもさせぬ
佐助そいつは誰だこの俺が斬り捨ててやろう」
「そのことですが...姉が攫われました」
「え!葉月が!?」
「....信長のところへ行け」
「はい。謙信様」
返事をすると闇に紛れてフッと消えた