第1章 新月
『そちらの方は?』
「そやつは織田家ゆかりの姫だ
挨拶をしろ」
「えっと、ははじめまして桜花です」
ペコッと頭を軽く下げた
『....貴女は本当に織田家の姫ですか?』
「......え?!」
にっこり微笑んで桜花と視線あわす
「ああっ!?」
葉月に気付いた桜花が大きな声を出した
「煩い桜花」
「ご、ごめん家康っ」
「なぜそう思う」
『...申し訳ありません
少し挙動不審ですし、挨拶がその...
あまりお上手とは言えませんので』
少し俯いて口元に手を当てた
「まったくお前はもう少し姫らしくしたらどうだ」
「うっ!すみませ~ん」
『ふふふっ』
「葉月姫?」
下を向いたまま笑い出した葉月に三成が声をかけた
『ごめん桜花
ちょっと意地悪しちゃった』
クスクス笑いながら顔をあげる
「やっぱり葉月!?
なんで!何で姫なの?
って言うか嫁ぐってなんで?!
佐助君泣いちゃうよ!?」
「落ち着け桜花」
「痛っ!」
前のめりで次々に質問を投げかけてくる桜花の額を政宗が指で弾いた
落ち着いた所で桜花と幼馴染みであることを告げた
「と言う事は葉月姫も500年後の世界から来られたのですか?」
『あら桜花から聞いたのですか?』
「ああそうだ
桜花は一月前に現れて信長様を助けた」
『私は1年前からいます。
拾われた先で運が良いことに
姫としての教育をしていただきました。
そして養女となった所から
この度許嫁のもとへ嫁ぎに来ました』
「それだよ!佐助君は知ってるの?
葉月が結婚なんてぜっったい
反対するはずだよ!!?」
『会ったの?』
「あ~うん、それは...」
目を泳がせシドロモドロになっていると
「桜花」
「は、はい!!?」
「お前また城を抜け出したのか?」
「うっ!」
「お前なぁ~
一応姫ってことになってるんだ
少しは大人しくてろ!?」
「ごめんなさい秀吉さん!」
「桜花様はお元気ですね」