第4章 弓張月
『家康...こんな感じ?』
「はあ...全然ダメもっと力抜いて」
『こ、こう?』
「そう上手
今の力加減忘れないで」
『うん分かった』
中から聞こえてくる声に桜花は障子の前でフリーズした
「(なにこの会話?)」
「じゃあもう一回最初から
まず、これを握って先を濡らす」
『ねえ家康なんで最初に濡らすの?』
「動きを滑らかにするため」
『ほんとだ!するする動く』
「(えぇ!これってもしかしてもしかするのかな!!)」
「桜花?」
「(夫婦だし問題ない?)」
「何してるんだ?」
「(あっでも祝言挙げてない!)」
「おい」
「(あれそういえば葉月って...)」
「桜花!!」
「うきゃぁぁぁ!!」
急に聞こえてきた大きな声に驚き絶叫し
バクバク鳴る心臓を抑えた
「びっびっくりした....」
「煩いんだけど部屋の前で叫ばないでくれる」
『桜花はいつも元気ね』
目の前の障子が開き家康が呆れた声で桜花を見た
「よう家康、葉月」
「なにかようですか政宗さん」
『ふふっそんな顔しちゃ失礼だよ』
不機嫌を隠さず顔に出す家康を笑いなが諫めた
「お楽しみ中悪いが信長様が城に来いってよ」
「ちょっ政宗!!」
『お楽しみ?』
にやにや笑っている政宗に慌てる桜花
何のことかわからず小首を傾げる葉月
「はあ...なに言ってんですか
薬作ってただけです」
「えっ!?そうなの?」
「相変わらず桜花はいい反応するなあ
冗談はさておきすぐに城に来いもちろん葉月もな」