第4章 弓張月
「いらっしゃいませ。今日は何をお探しですか?」
ここは安土の城下町にある薬草などを取り扱うお店
家康は薬の材料がなくなり葉月と買いに出かけてきた
「ありがとうございました」
買い物が終わり本当はそのまま御殿に帰るつもりだったが
「なにか見たいものある?」
『櫛や簪をみてもいい?』
せっかくなので二人で市を見て回ることにした
食材や日用品に小物とたくさんの商品が並ぶ市を見て回る
『あ...これ』
「どれ?」
しゃがみこんで持ち上げた
日の光を浴びてキラキラ綺麗に光る玉飾りがついた簪
『家康の色だね』
「俺の色?」
『うん。私この色好きなの
同じ色を身に着けてると
家康が傍にいてくれるみたいで安心するから』
「......(そういえばよくこの色のもの身につけてる)」
『そろそろお昼だし帰ろう家康』
持っていた簪を置いて立ち上がる
「買わないの?」
『うん。見るだけでいいの付き合ってくれてありがとう』
「...そ、じゃあ帰るよ」
葉月が歩き出したことを確認して簪を買って懐に隠した