第3章 三日月
チチチッと小鳥のさえずりで目を覚ました
ここにきて2回目の朝、今日が約束の最終日だ
温泉にゆっくりつかることが出来て
疲労はしっかりその日のうちに癒すことが出来たが
昨夜の温泉で予期せぬ出来事があった
『まさか温泉で鉢合わせになるなんてね...』
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一人の時間を楽しんで久しぶりに現代の歌を歌っていた
バチャンと揺れるお湯の音でやっと人の気配に気づいた
眠そうな瞳でボンヤリとこちらを見つめる男
『あら?貴方は確か佐助の友達の幸村様だったかしら?』
動揺を隠して普通を装い声をかけると
一気に目が覚めたのかザバッと立ち上がって
足を滑らせ盛大に転げ気を失ってしまったのだった
『はあ.....ここに幸村がいるってことは佐助もいるはずよね』
温泉から出ていつものラフな格好を身に纏い佐助を探した
すぐに見つけて幸村の着替えを頼んだ
暫くすると幸村は気が付いたが葉月の顔を見た瞬間真っ赤になった
『(見られたよねやっぱり)』
心の中で溜息を吐いていると赤くなって叫ぶ幸村
幸村の視線は自分の胸元に注がれていた
謙信も合流して佐助たちは帰っていく
"またな"と言って帰って行こうとした幸村に
"忘れなさい"と言うと間の抜けた返事をされた
多少イラッとして"記憶から抹消しなさい"と言ったのだった
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『どうせなら2.3発殴っといた方が良かったかしら?』
「葉月様は鍛錬でもなさるのですか?」
朝餉を食べ並んで現場に向かっている途中
ボソッといった独り言に三成が反応した
『いいえ。なんでもありません
それより今日で水路が完成できそう』
「はい。これで村が廃墟にならなくてすみそうですね」