第3章 三日月
長老の案内で三成と一緒に
着替えをもって温泉に向かう
「怪我や病気あと疲労回復に効くと言われています」
長老の話を聞きながら暫く歩くと
温泉独特の硫黄の臭いがしてきた
「葉月様、私はここで待っておりますので
ごゆっくりお入りください」
長老が帰り三成は近くで待機することになった
近づくともくもくと立ち上がる湯気
大きな岩影に隠れ素早く着物を脱ぎ捨て温泉に入った
『星が綺麗....贅沢な温泉だわ』
今は纖月、西の空にどうにか見える極細の月
そのせいか殆ど月明かりがなく星の光が綺麗に見える
うっとりと星空を見つめているとパチャンとお湯が跳ねる音がした
『え、なに?』
音がした方を警戒しながら見ていると
湯気の向こうに小さな影が見えた
影が近づいてきて葉月に気づくと
ウキッと小さな声をあげ走り去った
『子猿...?
聞いたことはあったけど
ホントに猿も温泉に入るのね...』
子猿がいなくなり静かになった温泉のお湯をすくいあげる
『ん~三成君も待ってるしそろそろ出ようかな』
温泉から出て素早く手拭いで体を拭き着物を身にまとった
『お待たせ三成君』
「温泉は如何でしたか?」
『うん。とってもいいお湯だったよ』
「濡れていてはお風邪をひかれますよ」
持ってきていた手拭いで葉月の髪を丁寧に拭き始めた
『ありがとう』
来た道を二人で長老の家へと戻っていく
家に着くと用意されていた褥で夜を過ごした
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「謙信様。温泉があるみたいです」
「温泉だと?」
「良いな温泉。佐助もちろん混浴なんだろ?」
「はあ!何言ってんですかアンタは!?」
「はい」
「それは楽しそうだな。よし明日行ってみよう
いいだろう謙信?」
「そうだな偶には月見酒もいいだろう」
「はあ面倒事はおこさないで下さいよ」
「がんばれ幸」
「そんな無表情で言われてもうれしくねぇよ!」