第2章 繊月
「今なんと言った?」
『あら、聞こえ無かった?
頭だけじゃなく耳も悪いんだ』
ふぅっとため息を吐いた
「な!貴様!!?」
今にも斬りかかろうとする男だったが
入口が開きはっと振り返った
「何をしている
そいつは大事な人質だまだ殺すな」
『家康!!?』
家康を担いで入ってきたのは数人の男
家康を乱暴に部屋に放りこんだ
『家康になにしたの!』
ぐったりとした家康に駆け寄り男を睨み付けた
「殺してはいない
動けない様に少々痛め付けただけだ」
頬に触ると瞼がうっすら開いた
「....葉月」
『ごめんなさい家康』
「さあ姫君、貴方の出番です
脱いでもらいましょうか」
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光秀の案内で森の奥深くにある小屋にやって来た
寂びれた家の前にいかにも怪しい男が二人
「見張りがいるな」
「ああ、ここで間違いない」
「どうする?まずはアイツらを退治しねえと」
「心配ない一人は俺の斥候だ」
ピィーッと口笛を吹くと斥候が素早く打ち身をあて気絶をさせた
縄で縛り上げ木に括りつけた
斥候に見張りを頼み家の裏側へと回り込んだ
寂びれた小屋で所々の木が朽ち穴が開いている
そこから中を覗くと床に転がる家康と葉月の姿が確認できた
「居たぞ」
「敵は?」
「五人だな」
「どうする?家康だけなら踏み込んでも問題なかったが
葉月が居るとなると話は違うぞ」
「さあ姫君、貴方の出番です
脱いでもらいましょうか」
「「!!」」
小声で話し合う最中に中から聞こえてきた言葉
「おいおい不味いぞ秀吉」
「言われなくても分かってるが!」
『じゃああなたが脱がしてくれるかしら?
着付けは女中がしてくれるから一人では脱げないの』
次に聞こえた葉月の"脱がして"発言にギョッとした
「アイツ何考えてんだ!?」
「どうする早くしないと葉月が!」
「葉月のあの態度、何か考えがあるのだろう」
慌てる二人とは対照的に状況を静かに見守る光秀