第2章 繊月
家康は三成と別れて森の中を歩く
すれ違うのは商いの為に通る商人ばかりで
怪しい者は見つからない、引き返そうと踵を返す
「徳川家康、お前の大事な姫を預かっている
大人しく来てもらおうか」
不適な笑みを浮かべ刀を向けてきた
「は?姫?」
「そうだ、美しい黒髪の姫君だ」
「!?」
スッと持ち上げた男の手には
葉月が朝髪に挿していた簪が握られていた
「う"っ!?」
一瞬の動揺を見逃さず男の仲間が
後ろから殴りかかってきた
刀を奪われなすすべもなく一方的に殴られる
「愛しき者が恥辱されるのをみせてやる
それまでは貴様を殺しはしない」
朦朧とする中、男の言葉を聞こえ
そこで家康の意識は途切れた
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「信長様!?」
「騒々しい何事だ」
「葉月が拐われました」
広間に駆け込んできた秀吉は
姿勢をだだし報告をした
「こっちもかよ」
「は?こっちもとはどう言うことだ?」
「先ほど三成から家康がいなくなったと
報告がはいったところだ
葉月の行方の手がかりはあるか?」
「東に連れ去ったと店の者が言っておりました」
「政宗、秀吉東に向かえ
桜花貴様は部屋に帰っていろ」
「御意!」
「了解!」
立ち上がり颯爽と走り去った
「盗賊の目的は家康か」
「ってことは葉月を人質に
家康を捕まえたってことか」
馬を走らせて東の森に到着した
馬を降り辺りを警戒しながら森を進んでいく
「秀吉、政宗こっちだ」
「光秀!?」
「斥候が奴等の隠れ家を見つけたぞ
葉月の姿も確認したそうだ」
「急ぐぞ案内しろ!?」