第8章 十六夜月
三成を見ると酒を飲まされたのかうつ伏せに倒れている政宗の介抱をしていた
その元凶である者、光秀はいつの間にか姿がなくなっていた
ぐるりと見ると幸村、佐助、大翔は酒を飲まされ撃沈
謙信、信玄、信長だけが静かに酒を飲んでいた
俺はべろべろに酔って俺に抱き着いている桜花を抱き上げ静かに広間を後にした
桜花の部屋の襖を開くと女中がすでに褥の準備をしてくれていた
そっと桜花を下ろし体を起き上がらせようとするが首に巻き付いている手に引き寄せられた
「らめ~」
「....良い子だから離しなさい」
いやいやと首を左右に振り一向に離れない
仕方なく一緒に褥に横になると嬉しそうに擦り寄ってきた
「うふふ、ひれよちしゃんしゅき~
ら~いしゅきらよ~」
「俺も桜花が好きだ」
「ひれよちしゃんちゅ~」
ふにゃふにゃと笑って俺にのしかかり上に跨って口づけてきた
啄むような口づけからしっかりと舌を絡ませた濃厚な口づけへと変わっていった
「...っん」
抱きたい.....いや駄目だ駄目だ!!
でも....振れぐらいならいいよな?
艶めかしい声に誘われる様に支えている手が桜花の背を撫でる
俺の手に反応してピクッと体を震わす桜花
「ぁ...ひでよし、さん
もっと.....して?」
とろんとした瞳で懇願され俺の理性はガラガラ音を立てて崩れていく
「桜花」
俺から口づけようと後頭部に手を回し引き寄せた
あと少しで重なる唇だったが
「お楽しみ中悪いな秀吉」
「!?光秀!!」
スラっと襖が開き笑みを浮かべた光秀が入ってきた
「秀吉は襲われるのが好きなのか?」
俺たちの姿を見て口角をあげ意地悪く笑う
「な!?そんなわけあるか!?」
「貴様のことだ信長様に許しなく抱けないとでも思っているのだろう?
律儀な奴だ黙っていればばれないものを
"たまたま"通りかかって理性の崩れたお前を止めてやったんだ感謝しろよ秀吉?」
くくくっと愉しそうに笑う光秀
青筋を立てて怒る俺をそのままに去っていった
俺が光秀ともめている間に桜花はすやすやと夢の中に旅立っていた