第8章 十六夜月
広間に入りと最終準備をして三成に声をかけた
「そろそろ来る頃だろう
気が進まないが迎えに行くぞ」
「はい。かしこまりました」
「秀吉さん私も行っていい?」
「一緒においで」
「本当に来てくれると思わなかったね」
はあっと小さな溜息を吐きながら入口へと迎えに行く
「こんにちは桜花さん秀吉さん
お招きありがとうございます」
「きてやったぞありがたく思え」
「やあ俺の天女元気だったかい?」
「佐助を招待したが軍神や虎まで呼んだ覚えはないし
桜花は貴様の天女ではなく俺のだ!」
「やだそんな秀吉さん恥ずかしいよ~」
「桜花嬉しそうだな」
「もう何でもいいから大人しくしててくれ」
頬を染める桜花は俺の腕でパシパシ叩いて嬉しそうに笑った
謙信、信玄、幸村、佐助、大翔を広間に案内し三成に信長様と葉月を迎えに行かせた
暫くすると三成が広間に入ってきて桜花に"到着いたしました"と報告した
にこにこ微笑みくるりと皆を見回した
「新婦の入場でーす!」
桜花の声を合図に俺と三成が襖を左右に開いた
「やあ姫君」
「わざわざ来てやったぞ」
春日山組の5人を見て驚く葉月に
"祝言だ"と言い信長様は愉しそうに笑っていた
左右に分かれ鎮座する俺たちの間を信長様に手を引かれ歩き
上座に並ぶ膳の前に座らせた
忘れ物をしたと言って一度御殿に帰った家康を待たずに祝言が始まった
政宗が厨から料理を運んで来て
美味しい料理に舌鼓をうち酒が進む俺たち
「今日も美しいね姫君」
「信玄様の言う通り綺麗だよ葉月
なぁ、家康さんやめて俺にしない?」
「そんなこと言ってはダメじゃないか大翔
所で俺だけの姫にならないかい?」
それぞれが葉月の手を取りにこにこと微笑む
まあ桜花に被害もない
今日くらいは大目に見てやるか
「桜花飲みすぎじゃないか?」
「らいじょ~ぶらよ~
ひれよちしゃんも~のんれ~」
「何言ってんだ桜花?」
ケラケラ笑って俺のお猪口にナミナミにお酒を注ぐ
注がれるままに次々に飲んでいく俺も酔いがまわってきた
気が付くと上座には家康が座っていた