第8章 十六夜月
空にあった入道雲が姿を消し
青々としていた山は緑から黄金色へと衣替え
鈴虫が鳴き始め季節は夏から秋へと変わっていく
「出来たー!?」
自室に籠って仕立てていた桜花の部屋の前まで来た時に声が聞こえてきた
襖を開くと大きく腕を伸ばしバッタリと倒れた桜花の顔を覗き込んで微笑んだ
「随分と賑やかだな」
「あっ秀吉さんみてみて!
ついに出来たの最高傑作だよ!?」
俺に起こされ出来上がったドレスを嬉しそうに持ち上げた
「凄いな!このキラキラ光っているのはなんだ?」
「ふふっ企業秘密です🎵」
出来上がった真っ白のどれすとやらを見せられると見たこともない程美しい仕上がりになっていた
「出来上がったか」
「へぇーやるじゃねえか桜花」
「誰しも一つは優れたのもを持っていると言うが
優れたものがあって良かったな」
「とても美しいです桜花様」
「ありがとうみんな
葉月に報告してくるね!?」
全くもう少し姫らしく出来ないものかな...
バタバタと駈けていく桜花を見て苦笑いを浮かべた
「秀吉、早馬を出せ」
「はっ!?」
「よしっ俺も仕上げるか!?」
信長様の合図を受け準備に取り掛かった
一刻程たって準備が出来桜花の様子を見にやって来た
「桜花準備は出き....」
「どうかしましたか秀吉様?」
『こんにちは秀吉さん三成君』
「こんにちは桜花様葉月様
それがどれすと言うものですか?
とてもお似合いでお美しいです
ね、秀吉様」
「そ、そうだな三成」
「では私は信長様に報告にいって参ります」
「ああ、頼んだぞ」
程なくして信長様がやってきて
俺と桜花は信長様と入れ違うように部屋を出て広間に向かった