第8章 十六夜月
「でしょ~そう思うよね!?」
「はい。是非一番に抱かせてほしいです」
「え~ダメだよ
一番は親友の私でしょ!」
「何を言ってる
最初は城主である俺に決まっているだろう」
突然現れて会話に参加した佐助のことには一切触れずに
信長様はさも当然のように自分が一番だと主張している
「では俺は二番に抱かせて下さい」
無表情で小さく挙手をする佐助
「あー狡いっ佐助君!」
「おいっちょっと待て!?お前何でここにいるんだ!!?」
「皆さんお久しぶりです
姉さんが心配で様子を見に来ました」
わなわなと震える指で佐助を指さす俺に簡単に説明をしてきた
「と、言うわけで信玄様から
迷惑料としていろいろ巻き上げてきました」
「佐助君容赦ないね....」
「これじゃあまだまだ足りないくらいだよ」
おいっ!どこに隠し持っていたんだ!?
次々に広げられる珍しい品々
その商品を俺は持ち上げこれはなんだ?と説明を求めた
それに対し丁寧に答える佐助
その横で覗き込んでいた桜花は白い布の塊を手に取り広げた
佐助に"ウエディングドレス"だと教えてもらった
「ベールもあるの!?凄い久々に腕がなるよ
はっ!インスピレーションが降りてきた!!?」
そのどれすとべえるを手にするとわけのわからない言葉を言い
興奮気味に布を抱きしめ立ち上がり
広間を走って出ていった
「アイツ仕立ての事となると人が変わるな」
「桜花様はお仕事熱心ですね」
呆れ声で見送る政宗とにこにこと微笑む三成
「佐助これはなんだ?」
光秀がヒョイと持ち上げたのは
南蛮の品々の中で一つだけ仲間外れの小さな壷
"謙信様から"だと言う壷を光秀から受け取った葉月は
縛られていた紐を解き中を覗きこんだ
小さな壷の中には沢山の梅干し
なんで梅干しなんだと皆が疑問に思っていると
佐助が説明をはじめ最後に"お酒のあてに食べてください"
と付け足した
一通り商品の説明を終えた佐助は
"祝言には是非呼んで下さい"と言って春日山城へと帰っていった