第8章 十六夜月
「秀吉さ~ん
これなんかどうかな?」
翌日葉月の寸法を測り終え俺の御殿に来た桜花
"反物屋に一緒に行こう"と誘いを受けた
楽しそうに反物を選ぶ桜花
「う~ん...赤もいいし緑もいいなあ~」
「桜花これはどうだ?」
俺が見せたのは"金茶色"の反物
金色がかった明るい茶色で山吹色に近い色
「わぁ~いいねその色
"貴方色に染まりたい"だね」
「は....?どういう意味だ桜花」
「だって山吹色って言ったら家康でしょ?」
ああ、そう言われてみればいつもこんな色の着物身に着けてたな
「よ~しこれに決定!!
付き合ってくれてありがとう秀吉さん」
にこにこ微笑む桜花の手から反物を奪い店主にお金を払う
さてとまだ帰るには早いせっかくだ甘味屋にでも寄るか
「桜花団子食べてから帰るか」
「うん!食べる!!」
反物屋を出て少し先にある団子屋まで桜花と手を繋いで歩き
甘味屋につくと団子とお茶を注文して店先に腰を下ろした
「おいひぃ~」
ははっまるで小動物みたいだな
俺はお茶を飲みながらモグモグと口いっぱいにほうばる桜花を見ていた
「ぷはぁ~ごちそうさまでした!」
「桜花、お前もう少し落ち着いて食べろ
餡子ついてるぞ?」
お茶を飲み干し満足そうに微笑む桜花の口元についていた餡子をペロッと舐めとった
「!?ひ、秀吉さん!
ちょっ、ここ外だよ!?」
「なら続きは御殿に帰ってからな?」
真っ赤になりながらもこくんと頷く桜花と御殿へと帰っていった