第8章 十六夜月
「お前が知らないだけだろう?
桜花でも織田家ゆかりの姫なら
縁談の一つや二つくらい来るだろう」
「信長様、光秀さん"私でも"って
どう言う意味ですか!?」
ぷりぷり頬を膨らまし怒る桜花を見て一瞬頬を緩ます
「そのままの意味だが
礼儀作法もいまいちでお転婆のお前にでも
織田家の姫と言うだけで縁談が来る
良かったな桜花」
「むぅ~どうせお転婆ですよ~」
「桜花がお転婆なのは置いといて
縁談など俺は反対です!?」
「それは貴様が決めることではない
桜花、後で天守に来い」
「は、はい!?」
話は終わったと信長様は食事を早々に終わらせ天守へと去っていった
俺は慌てて信長様を追いかけ普段は走ることのない廊下を走り天守へと向かった
「信長様!!」
「秀吉、貴様を呼んだ覚えはない」
ジロリと睨まれたがここで引くわけにはいかない
「先ほどの桜花の縁談の話本当ですか!」
「そうだ」
「なぜ教えて下されなかったのですか!!?」
「なぜだと?逆になぜお前に報告しなければならないのだ」
「しかし!?」
「くどい」
「あの~」
遠慮気味にかけられた声に後ろを振り返る
「桜花か入れ」
「は、はい。失礼します...」
「話は終わりだ下がれ秀吉」
「.....はっ」
仕方なく俺は桜花と入れ替わるように部屋を出て行った