第8章 十六夜月
「おっ!今日も一緒に来たのか?」
桜花に避けられもやもやしながら過ごす毎日
登城している家康に文を届けに来た俺は二人を見てニコニコと微笑んだ
「葉月は一人でいると攫われることが多いので」
『御殿に居たらそんなこと無いって言ってるのに』
「なに俺と居るの嫌なの?」
『...嫌なわけない』
「じゃあ問題ないでしょ」
頬を仄かに染める葉月と照れ隠し顔をそらす家康
見ていて微笑ましいな
「葉月、後で桜花に会いに行ってくれるか?」
『はい。いいですけど
どうかしましたか?』
「最近何かに悩んでるみたいでな
俺が聞いても話してくれないんだ
と言うか俺が避けられてる気がする...」
『分かりました行ってみます』
「頼んだぞ」
家康もやっと素直になったなあ
俺も桜花とああ言う仲に....
「いやダメだな余計なことは考えるな!?」
パシパシ頬を叩き仕事部屋へと向かった
「三成ー居るか?」
仕事を終え書庫に入って声をかけると本に埋もれる三成を発見した
乱雑に置かれている本を棚に片付け近づいていく
「そろそろきり上げないと夕餉に間にあわないぞ?」
「夕餉?もうそのような時間ですか?」
読んでいた本をパタンと閉じると周りに散らばっている本を棚に片付け数冊の本を手に書庫を出て広間に向かった
「皆に報告がある」
「報告?」
「なんでしょうね秀吉様」
夕餉の膳がそろい皆が席に着いたところで政宗が不適な笑みを浮かべ桜花の隣に立ち
あろうことか桜花を抱き寄せ"恋仲なろうと思う"とふざけたことを言い出した
急に何を言ってるんだ政宗は!!
しかし桜花の幸せを思うなら....
嫌!しかし?!
「待て政宗
桜花でも縁談の話くらいある」
なにっ!?
頭の中であれこれ考え込んでいた思考が一気に現実へと戻ってきた
「信長様お待ち下さい!?」
「なんだ秀吉」
「縁談など聞いたことがありません!?」
そんな話今の今まで聞いてことなどない
なんで今になって急に話題に上がるんだ!!