第2章 繊月
「葉月~会いたかった!」
政宗の御殿に着くと飛び出してきた桜花にギューッと抱き着かれた
『久しぶりだね桜花』
ポンポンと背中を叩き挨拶をした
「待たせたな桜花
用意するからこいつ等部屋に連れて行ってくれ」
「うん!行こう葉月、家康」
「急ぐと転ぶよ」
「む~大丈夫だもん!?」
葉月の手を引きパタパタ早足で歩き襖を開いた
「うみゃ!!」
「わっ!?」
襖を開いたと同時にふわふわした塊が桜花に激突した
「もー!照月いきなり飛びつかないでよ!!」
バシバシと前足で桜花に攻撃をする子犬大の大きさの生き物
『とら?』
「そうだよ~政宗が飼ってる小虎で照月って言うんだよ
って痛い痛い!噛まないで!!?」
「桜花は虎にまでバカにされてる」
撫でようと伸ばした桜花の手をガジガジと噛む
『おいで照月』
しゃがんで手を差し出すと
スンスンと鼻先を持ってきて
臭いを嗅ぐとペロリと手を舐めた
『....可愛い』
「みゃ~」
スリスリとすり寄って葉月の膝の上にのぼって
ゴロゴロと喉を鳴らし幸せそうに瞳を細めた
「おっ照月が懐いたのか」
「そうなんだよっ!私は噛みつかれたりするのに~」
「桜花は照月に遊ばれてるんだよ」
「む~」
「そんなことより飯持ってきたぞ」
「やった!ご飯ご飯」
いそいそとご膳の前に座りにこにこ微笑む
家康は小さい溜息を吐きながら座る
葉月も照月を抱き上げ家康の横の席に座った