第8章 十六夜月
「秀吉さん!」
「桜花!」
大翔から離れ俺の腕の中に飛び込んできた桜花を抱きしめると背中に回った手がキュッと着物を掴んだ
「桜花怪我はないか?」
「うん。大翔が助けてくれたから」
大翔が桜花とどう言う関係か気になるところだが
今は顕如を捕まえることが先決だ
『貴方一人になりました
降伏された方が宜しいのではありませんか?』
前に目を向けると顕如と薙刀を構え対峙している葉月
葉月の横にはにこにこと微笑んでいる大翔
「まだ終わりではない」
「葉月!?」
錫杖の隠し刀で葉月の薙刀の刀身の部分を斬りおとした
「信長の寵姫を道ずれにと思ったがこの際
お前でもよかろう」
『あらあら
どうしましょうか大翔?』
「ん~、のしても良いんじゃないか?」
「葉月やっちゃえ!!」
「こら桜花!煽るんじゃない!?」
いくら葉月が強いと言ってもこれ以上見ているわけにはいかない!
「家康!」
「わかってます」
刀を構え一歩前に踏み出した家康だったがそれよりも先に
顕如が葉月に刀を振り下ろした
その刀を軽くいなし手首を打ち付け隠し刀を叩き落とした
落とした刀を拾い上げ顕如は葉月に再び襲いかかるが
『甘いですね』
葉月の白く長い脚が顕如の顎を蹴り飛ばした
「葉月やったね!」
「.....三成」
「はい。かしこまりました」
ぴょこぴょこと飛び跳ね喜ぶ桜花を諫め
三成に気絶した顕如を捕縛させ戦は幕を閉じた