第4章 ヒーローの世界。
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「出久さん。」
「え……もしかして、ずっと待ってたの!?」
USJから帰ってきたあと、出久さんの私の部屋の間で帰りを待っていたらもう陽が沈んでしまった。
しかし、帰ってきてもらえて良かったです。
私のところまで早歩きで来て、目の前に立たれた。
意外と出久さんは私よりも身長があるらしい。
「連絡してよ!……て分からないか。ほら、お母さんとかに言っておけばよかったのに。」
「引子さんに言ったら、また家にお邪魔してしまうと思いまして……失礼じゃないですか。」
えぇ。と眉を下げられた。すると出久さんはズボンのポケットに手を入れ、取り出したのは四角い機械。そうスマホだ。
「も、もし良ければ連絡先、交換しない……?」
「良いのですか?」
「勿論だよ!いつでも連絡して!」
SNSを起動させて、友だち追加をする。"出久"という名前が追加された。アイコンはオールマイトのフィギュアだ。
出久さんは確か、オールマイトの熱狂的なファンだった気がする。引子さんが言っていた。
「出久さん、怪我とか大丈夫ですか?」
「え、大丈夫だよ!リカバリーガールに治癒してもらってきた。」
「凄く出久さんのこと、心配でした。」
「え……?」
なんだか、間抜けな声が聞こえてきた気がした。
間抜けと言っていいいだろうか?しかし、何だろう本当に驚いているように感じる。
「え、ええ!!??ままま、まじか!」
「心配しては、いけませんでしたか?」
「ううん!植村さんからそんな言葉が出るなんて思いもしなかったから……僕も心配してたよ。」
なんだか顔が赤い気がするが暗くてあまり感じ取れてないので気のせいだと思う。
でも、体とか元気そうで良かった。……何だろうか、悩んでいたことが一気に吹き飛んだ。
「それだったら良かったです。私は大丈夫でしたよ。」
だって、"心配"という感情を覚えたもの。
するとドアが開く音がして、そちら側を見ると引子さんが私達の方を見ていた。