第3章 可哀想な瞳。
ヴィラン連合……?聞いたこともない、グループだ。
「僭越ながらこの度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただいたのは平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたいのと……。」
私の方を見た気がした。黒い霧に黄色い目が私を取られた気がする。嫌、これは……
「社会の汚さ、ヒーローの汚さなどを見てきた"植村すみれ"さんをこの目で見てみたいと思ってのことで。」
絶対に私を見ていたんだ。
そう確信した頃には、色んなことを言われていた。別にそれが何って感じだけれどもクククッと可笑しそうに笑われたが何も体には変化はない。
A組から沢山の視線を感じたが、私の感情は何も響かない。
「クククッ……はやり表情は変わらないですね。その目で何を見ていたのか、何を感じ取ってきたのか。……本当に"可哀想な瞳"だ。」
「すみれさん……。」と寂しそうに呟く百さん。他の人からも怒りの目線や心配そうな目線など沢山している。
でも、安心してください。何も感じないし、何も怖くないから。
「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるはず。ですが何か変更があったのでしょうか?
まあ、それとは関係なく私の役目はこれ_____。」
爆豪さんと切島さんが突っ込んでいき、攻撃をした。倒れたと思った、しかしまた黒い霧が煙の中現れていく。
「……危ない危ない。生徒といえど優秀な金の卵。」
「だめだ!どきなさい、2人とも!」
「私の役目はあなたたちを散らしてなぶり殺す!」
周りは霧で覆われて、まるで吸い込まれるような感覚がした。……他の皆、なぶり殺されるの?オールマイトを倒すために?私を見るために?
「すみれさん!!」
そんな百さんの声が聞こえ、そちらの方へ見ると手を伸ばしていた。私も腕を伸ばす。
あと、少し。あと少しで、百さんの手を握れる。一生懸命伸ばす。
しかし、手と手は離れていき、空を切きりそのまま視線から何処かに行ってしまう。
私は百さんのあの暖かくて優しい手を握れなかった。