第14章 1ページ完結物3
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かすかに感じる風
懐かしいあなたの澄んだ声が聞こえる気がして
あてもなく彷徨いたどり着いたのは
あなたとの思い出のあの場所だった
俺を待つ間
いつもあなたはかすかに歌を口ずさんでた
今もなおあなたに会いたくて
あなたが口ずさんてた歌をたよりに探している
あなたにもらった時計は
あなたが戻らなかったあの日からずっと
時が止まってしまっている
あなたは今どこにいるのだろう
俺は暗い部屋の中であなたを待ちくたびれ
ただただ生きています
物の少ない小さな部屋に響き渡るのは
窓にたたきつける雨音
吹き荒れる風
枯れ果てたはずの俺の泣き声
こんなになってもまだあなたを信じている
いつかまた帰ってくると
優しい笑顔で包み込んでくれると
澄んだ歌声を聞かせてくれると
未練がましいと言われても
一途に想い続けている
あなたの家になりたくて
End