第10章 1ページ完結物
ALL ? side
伏せられた長い睫毛から目が離せない
そっと唇が近づき触れるか触れないかという距離であなたが囁く
お前が欲しいよ……
堪えきれない喘ぎを隠す両手をはぎとり
隠さず聞かせろ
どうして欲しい?
なんて
抱き合うとあなたの香水を強く感じる
酔いそうなくらいに
真っ赤な薔薇の花
誕生日プレゼントってくれたけど
なんだか愛の告白みたいで柄にもなくときめいた
本気じゃないって分かっているけど今はこの夢に溺れていたかった
無邪気な笑顔をみせて期待させるからいけないんだよ
あなたに捨てられたとき辛かったよ
弄ばれただけだったけど
きっとこれは愛じゃないし、恋でもなかった
それでもあなたが好きだった
あなたにとっては手ごろな遊び相手の一人だっただろうけどね
せめて嫌いになれたら良かったのに
惚れてしまった俺の負けだね
End