第10章 1ページ完結物
N&O
All O side
本当はずっと愛していたんだよ
甘やかな声も柔らかいふわふわの猫っ毛も子犬のような瞳も愛し過ぎて
瞳を閉じていても君の笑顔を描くことができる
ふと君を感じて振り向いてみてももう君はいない
耳の奥には君の声がまだ残っているのに
家では実は涙もろいところもいたずらっ子で捻くれてて素直じゃなくて束縛が激しく嫉妬深いところも愛してる
俺のこと好き?って聞いたら、嫌いだよ?なんて笑って
俺が拗ねると後ろからぎゅっと抱き着いてくる君
どんな時も優しくてどんなことでも最後は許してくれた
だから俺は君の優しさに甘えていたんだ
ただわがままに突き放してしまった
あの日君がこぼした涙に気付かないふりをして部屋を飛び出した
君の涙は今でも忘れられなくて
もう終わったと分かっているのに冷たい雨の中君を待ち続けてしまう
君を泣かせた俺に泣く資格なんてないけど
君を傷つけたその痛みを胸に今日だけ泣かせて
誰よりも愛しているんだ
END