第8章 S&N
なんでも後を継がないと宣言したときから、一切の関心を持たれなくなったそうで、放置されているらしい
というかこの人、『さくら』の息子さんだったんだ
だから甘い物が好きなのかな
なんでうちに来てくれるんだろ
ってまずは休ませなきゃ
取り合えず家の人は心配しないそうだから、このまま泊まらせることにした
「……まだ少し熱あるね、寒くない?」
「ちょっと寒いけど、大丈夫だよ」
「それは大丈夫じゃないでしょ、これ掛けて」
「迷惑かけてごめん」
「いいからいいから、気にしないで(笑)」
なんだろう……
なんかドキドキする
熱のせいか瞳が潤んでいて、少し荒めの吐息もなんだか艶めいて色っぽい
ぽってりした柔らかそうな唇から目が離せなくなる
相手は男なのに……
そんな自分に気づいて動揺した
「じゃ、俺は向こうにいるから」
「や……ここに居て……?」
変な気持ちになりそうだから離れようとしたのに
風邪で心も弱ったのかな、そばにいてくれと俺にすがってくる