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【短編集】【HQ】純情セレナーデ

第15章 用心棒ときまぐれ姫 前日譚(菅原孝支)


2月も中旬に差し掛かる頃、やはり男子たるものそわそわせざるおえない。
女子たちは毎日雑誌やカタログを見ているし、レシピ本を交換しあっている姿もしばしば見られる。
高校生活2回目のバレンタインデーである。
残念ながら自分の片想い相手であるさんは、恋人がおり、なのに、いじらしく部活が終わるのをいつも待ってくれている。
「あっ、菅原くん、お疲れ様」
物腰柔らかい声が校門でかかり、いつものように隣を歩いて帰路につく。
さんは、中学から一緒で、気付くとその柔らかい雰囲気や媚び過ぎず媚びてくる姿がなんとも愛くるしい娘で、かつ見ていられなくなるほどたまに大胆な行動をする。
最近不仲な両親に耐えられなくなり、あちこち転々と泊まって、最近やっと住めるところを見つけたそうな。

未成年の俺達にとっては物凄く親の恩恵というものはデカい。
それなのに、それすら振り払って、彼女はあっさりと自立していったのだ。
それは予想していなかったし、本人も望んでいたわけではないだろう。
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