第14章 レモンの花(木兎光太郎)
わかってる、わかってるのに。
私の心の歪みがカタカタと音を鳴らす。
合わないパズルのようで、もどかしい。
確かに絵柄は同じはずなのに、どうしても噛み合わない凹凸に歯痒ささえ覚える。
「いつだって、は、キレイで、可愛い…!」
ドア越しに、静かだけど力強く聞こえる。
「……ありがと……」
「毎日何十回でも、何百回でも、言う…!!」
「……うん…」
「そしたら、そんなこと思わなくなるだろう!!?」
「……うん、きっと」
「絶対だ!!!!」
いつでも守ってくれてた人。
ずっと好きなのに、まだ何も返せてない。
ドアを開けて、自分からその身体に腕を回す。
「……ありがと、いつも…っ」
きっと、ここから少しずつ、進むから。
見守ってて欲しい。
いつか二人で、実が結べるように。