第12章 ラムネ瓶にのぼる月4(月島蛍)
その日の明るいうちに、僕はが引き受けた雑用を全て断った。
怒る人は一人もいなかったが、困る人はいた。
お金は受けない約束で、代わりにできるものだけは引き受け、ようやっと終わる頃には、小学生たちの子供神輿が前を横切った。
法被を着た小学生たちは、わらわらと休憩地点へ向かい、ソーダ味のアイスを分けて食べていた。
そういえば山口とも参加したっけ、なんて、ノスタルジーに少し浸る。
それにしても結構ハードだった。
なんなら部活の筋トレくらいのことはしたようにすら思う。
そんなことを繰り返し行っていて、尚且つ夢中だったというのなら、本当に彼女に尊敬の念しか抱けない。
チャリを下り坂に向け、急いでの家に向かった。
小学校、商店街と、同じ音源が使われた古くさいお囃子が流れ始めた。
「、眠れた?」
一応聞いてみたが、相変わらず彼女は虚ろだった。
辛うじて入浴は出来たのだろうか、仄かな女性もの特有の香りがする。
可愛らしい服装をするでもなく、いつもの彼女らしいものだった。
「武装しなくていいの?」
と皮肉を言ったつもりでいたのに、覇気のない肯定の返事だけされる。
「じゃあ、行こう」
手を無意識に引くと、もまた、その手を握り返してくれる。
その力は弱々しく、はっきりとはしない自分の中の罪悪感が少しだけ仕事をした。