第1章 ジャンヌダルク(及川徹)
「好きだよ」
丸くて大きな目が揺らぐ。
「……ロリコンですか…」
は俺から放れると冷たくそう言った。
「ろ……」
「あなたが最初に言ったんですよ、チビって」
「…や、まあ、そうだけど…」
ティッシュが全力で投げられて顔に当たる。
「その汚ならしい制服をまずは整えなさいっ」
「………さんの鼻水なんだけど…」
はもう一つポケットティッシュを取り出すと、鼻をかんだ。
「わ、私は、あなたみたいなチャラチャラした男性は願い下げですからっ!
私は、もっと、誠実で…かっこよくて…身長もそこまで差がなくて…頭も良くて……もっと、もっと……」
フラレるとは思わなかった……。
(流れで告白しちゃったしな……)
「あ、あれ…?
わたし、私は、もっと、もっと素敵な人が…
そういうの、考えていたのに……!」
丸くて白い頬が林檎のように紅くなる。
「あれ…?」
「…それって…」
「ば、馬鹿じゃないですか!!
勘違いしないで下さいっ!?!
ちょっとムードに飲まれてるだけです、きっと……ね?
そうですよね……?そ、そうに決まって……」
じっとお互いの顔を見つめ合う。
「……」
「………」
「、付き合ってくれ…」
「……は、はい…」
観念したようにため息をついて、は恥ずかしそうに気まずそうに返事をしてくれた。
かくして、こんなデコボコなカップルが誕生してしまった。