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【短編集】【HQ】純情セレナーデ

第5章 迷子の子犬さん(澤村大地)


「悪い…つい、犬っぽいから…」
「いぬ…」
「小さいし、喜怒哀楽わかりやすいし、すぐ迷子になるし、子犬っぽいだろ」
「こいぬ…」
失言した。
そんなつもりで言いたかった訳ではない。
どんどん余裕がなくなってくる。
観念して、カッコつけないで素直に言うしかなくなった。
「好きだ」
もうこのまま消えたいとすら思うくらい恥ずかしくて格好のつかない告白だった。
月明かりでしか見えなかったけれど、確かに真っ赤な顔をしていたは、熱を伴った瞳でじっと見つめてくる。
「……ほん、ほんとに…?」
「2回も言わせるな、恥ずかしいんだ」
いたたまれなくて顔が見えないように返事も聞かずに抱き寄せてしまう。
「わっ!あ、あの、あの……っ!」
「ごめん、もう、兎に角見ないでくれ……!」
バタバタと腕の中で動いていた手足が止まる。
背中に腕が回されると、小さく、本当に小さく、
「私も好きです…」
と聞こえてきた。


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