第6章 『骨』
泰子は気が付くと見知らぬ場所にある椅子に拘束されていた。
初めて見る筈の場所だったが、彼女はその光景にどこか見覚えがあるような気がしていた。
「監視しているんだろう?何か言ったらどうなの」
監視カメラに向かって泰子が発すると、部屋に取り付けられていたスピーカーから声がした。
「目が覚めたようだな。気分はどうかな?」
「嗚呼、最低な寝覚めだよ」
「それは何よりだ」
「何故私だけを此処へ移動させた?」
「其れは君がよーく知っている筈だ」
「なんだと...」
泰子がそこまで発した時、椅子に仕組まれていた装置から更なる拘束具が飛び出してきた。
拘束具が泰子の頭部、目、首、腹、腕、足─全身を拘束していく中 。
位視界の中で泰子は思い出した。
自分の過去の出来事、自分の身に起きたら出来事を。