第9章 王子の休日
ハヨンは城門の警備を次の兵士と交代して、次の仕事に備え厨房で軽食をもらいに行こうとしていた。
(次はリョンヘ王子の警護だ…。頑張らなければ)
リョンヘと執務室で気兼ねなく話せる時間の一つだからか、ハヨンは少し浮き足立っていた。もちろん仕事はきちんとするが。
(それにしても最近は本当にリョンと関わる機会が少ないから、こういう場合は気分が高揚しすぎな気がする…)
なぜだろう、とハヨンは1度歩みを止めて考えた。結局は城の中では唯一の友達でもあるリョンヘと一緒にいるのは気が楽だからだという結論に達した。
もう少しで中庭に差し掛かろうとしていたその時。中庭から若者の声が聞こえてくる。どうやら非番なので手合わせでもしているのだろう。
(私もまた加わろうかな)
と中庭を何気なく見てみると、そこにはハヨンよりやや年上である兵士と、リョンヘが手合わせをしているのだった。
「ええ!?」
ハヨンは思わず声を出してしまったが、幸い小さかったようで、彼らには届かなかったようだ。二人は木刀をつき合わせている。
ハヨンは今日のリョンヘの予定を思い出す。
(…!今日、唯一の休憩時間なのに…!)
彼が自分が働かなくてどうすると言って、無理矢理予定を詰め込んで行くため、彼の休み時間はとても少なかった。その上、彼は休み時間を部下の手伝いや練習に付き合ったりするので、いつも動き回っているような気がする。
(…彼を休ませなければ。)
ハヨンはそう心に決めたのだった。