第8章 四獣のさだめ
「…あの。玄武の力は…?」
「ああ、玄武だけは代々持っている力が同じなんだよ。玄武はね、自然を再生する力を持っているのさ。」
「自然を、再生する…?」
ハヨンにとっては自然がどこまでの定義かわからなかった。草木のことなのか。もはや森のような大きなものか、そして動物までか。
「そう、蘇らせるんだ。しかし、動物や人の命まで生き返らせれるかは恐くて訊けなかったがね。」
玄武の持つ力があまりに強大なものだったので、ハヨンは思わず息を呑んだ。まだ四獣が初代王のもとで活躍していた頃、彼の力を知ったものはこぞって力が欲しかったに違いない。
もしかすると農作物を延々と作り続けることや、人の命を生き返らせることも出来たかもしれないのだから。
「この事はあまり喋ってはいけないよ。もしかすると欲に眩んで悪事を働く輩が出てくるかもしれないからね。」
ハヨンは老婆の言葉に神妙に頷いた。その反応が面白かったのか、少し彼女はくすりと笑う。
「あんたはそういう欲を持つ奴じゃないと思って話したんだからね。それに王子のことに一生懸命だから」
ハヨンは、彼女に悪い印象を持たれていないということの嬉しさと、王子のことで一生懸命と言う言葉が気はずかしくなってくるのだった