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華の剣士 2 四獣篇

第5章 新たな仲間


「はい。」

ハヨンは椅子には座らず、老婆が先程まで立っていた位置へと足を踏み出す。


「待て待て。今は俺とあんたしかいないんだし、そこまでする必要はない。それに、今から聞きたいことは俺の個人的な質問だ。ハヨンはしばらくの間今の関係を忘れて俺の話を聞いて欲しい。」


ほらほら、と自分のもとへと手招きをするリョンヘ。ハヨンはおっかなびっくりな様子で隣の椅子に座る。どうやら最近はセチャンと行動を共にしていたので、無礼な!と叫ばれはしないかと反射的に身構えてしまう事が癖になりかけていたようだった。


(よく考えれば私の今までやってきたことも、セチャン様から見ればとんでもないことだったよね…)


と城に入ってからの事を思い出して少し頬が緩んだ。


「じゃあ単刀直入に聞こう。ハヨン、あんたはリョンヤン達から城を追い出され、今俺といることは不満か?」


「…は?」

ハヨンは思わずすっとんきょうな声を出してしまった。しかしリョンヘの表情を見ればわかる。ハヨンは本当はリョンヤンの元にいたいのでは無いかと聞きたいのだろう。


「…私は。リョンヘ様が理不尽に城を追い出されたことはとても不満です。でもあなたの元でこうして共に戦おうとしていることに、何の不満もありません!」


ハヨンはどうすればリョンヘに本心が伝わるのかやきもきして、思わず語尾を荒げてしまった。


(何でこんなに相手について気にしすぎるんだろう。優しすぎるんだよ。そこにつけこまれて何度か暗殺されかけたと聞いたこともあるし…!!)


彼は倒れていた老婆に心配して話しかけた事があったのだが、実は刺客で彼が負傷した事があったと上司に聞いたときは肝が冷えた。


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