第5章 新たな仲間
ムニルが青龍だと言うことが城にいる面々に伝わり、青龍逃走事件はようやく落ち着いた。そして合流できたハヨン達と、ムニルはリョンヘやこの一行の幹部とも言えるべき人たちとある一室で顔を会わせた。
「みな無事で良かった。怪我の具合はどうだ?」
そう言ったリョンヘの顔は少しやつれている気がする。目元に隈を作っている。しかし、表情は暗くはないし、今も微笑んでいるので、少しほっとした。
リョンヘは家族から拒絶され、家から追い出されたようなものだ。このような劇的な環境の変化に、体や心に影響が出ていないかが心配だったのだ。
「はい、おかげさまで。悪化はしませんでしたし、さすがにまだ剣を持つことはできませんが、雑用ぐらいならいくらでもできます。」
そう一人の兵士は笑いながら力瘤をつくる。確か彼は背中に怪我を負っていたものだ。
「そうかそうか。無事で何よりだ。怪我をしたお前たちには本当は休んでもらいたいのだが、あいにくみな忙しいのだ。申し訳ないがお前たちの出来る内容で働いて貰えないだろうか。」
「ええ、もちろんですよ、リョンヘ様。私はここに来た以上、リョンヘ様の手となり足となり働くつもりなんですから。」
彼のまっすぐな笑顔はとても眩しかった。リョンヘはハヨンへと視線を向ける。怒られはしないのはわかっていたが、何を言われるだろうとハヨンは少し身を固くした。
「ハヨンもありがとう。傷の具合はどうなんだ?お前が一番酷く見えたのだが…。」
「大丈夫ですよ、王子。私は案外丈夫なんです。今からでも王子をお守りいたします。」
ハヨンは笑顔で答えたが、リョンヘは少し不安そうな顔をした。無理をしているのではないかと心配なのだろう。
しかし、実際ハヨンの傷の治りは他の二人より速かった。まだ完治とは言いがたいが、もう剣は振るえる程度まで治っている。
二人はハヨンよりも年上なので、「若さとは恐ろしいな」と言われた。