第4章 孟の地
ハヨン達は二日間ほとんど眠らずに進んだ。馬は三頭のみに対し兵士は七名という非常にややこしい構成だったので、相乗りするわけにもいかず、ほとんどの行程を歩いたのだ。
何度か交代で馬の背には乗るものの、別段足が速くなるわけでもない。その上目立たぬように移動するため、検問の場所は避けて通り、余計に時間が奪われた。
「もうすぐ孟群だ。」
一人の兵がそう言った。この燐の国は七つの群に別れている。そしてその群のなかでも町があり、村がある。ハヨンはその構成やおおよその群の配置は覚えていたが、実際の地理は曖昧だった。
そして大きな門がそびえ立っているのが見えてくる。城ほどの規模ではないが、なかなかの大きさである。
門には見知った兵、二人が衛兵として立っていた。
「何者だ。」
と問われてハヨン達は被っていた上衣の頭巾を脱いだ。
緊張していた二人はほっとした表情になる。
「無事に合流できてよかった。さぁみんな、入れ。」
そうして門を潜ると、かなりの数の民が辺りを行き交っていた。
それもそうだ。ここも普通の群の一つ。そして門の近くは旅人も通る。その者達を狙って店を建てた者も多いだろう。かなり賑やかな様子だった。
王都を外れたところは大抵寂れ始めていると思っていたので、この事にはハヨンは始めは面食らった。しかし、ここがリョンヘの直轄地だと思い出すと納得がいった。