第2章 異変
ハヨンにはその龍の鳴く音が一瞬何かわからなかった。金属を叩くような音だった。
「なんなんだ」
速く逃げたいのだが、龍の気を損ねたら命に支障をきたしそうなので、みな足を止める。セチャンは不服そうに顔をしかめた。
「何だかついていきたそうだな。」
「あぁ、リョンヘ様もそう思われますか。」
ハヨンは同意したが、他のものは首を捻る。
「何でそんなことがわかるのですか!。もしかしたら私たちを喰う気なのかも知れませんぞ!」
セチャンの言葉に、龍は唸った。そんなことはしないと言うことなのだろうか。
なぜかハヨンは龍の伝えたいことが先程からわかるような気がしてならない。確信があるわけではないのだが、あぁこう思っているのだな、と察せてしまう。
「今のところ敵ではないのですし、一緒でも大丈夫何ではないでしょうか。」
ハヨンはなぜか出会ったときから親しみをもってしまってしょうがなかった。武人であるので、資本何事にも警戒するのが常なのに、どうしてだか旧友に会ったような心持ちだったのだ。
「何でお前はそう大事なときに楽観的になれるのだ…」
セチャンが溜め息をつく。
「まぁ、龍の好きにさせようではないか」
リョンヤンもそう言ったので、セチャンは渋々承知し、共に山に駆け込んだ。
幸い龍はとてつもなく大きいと言うわけでもなかったので、山の中では目立たないようだった。