第9章 Episode 8
「ああ、もうこんな時間ですか」
「長居しちまったな」
天と楽が時計を見ながら言う。
気付けばいい時間になっていた。今日はこれでお開きということになって、私は天と2人でエントランスにいた。
楽と龍之介は社長に用事がある、と言いカフェを出た直後に別れたのだった。
「最後だけ気を使われてもな...」
「天、すぐそこまでで大丈夫だからね?」
「いえ、駅までは送ります」
駅までの短い距離だったが、私と天は少しゆっくり歩いた。
TRIGGERのこと、陸のこと、天のこと。色々なことを話した。
今日は天の素顔が知れたような気がする。
大人っぽい言動のイメージが強かったけど、天の年相応な面が見れて得をした気分だ。
「それじゃ、天今日は本当にありがとう。すっごく楽しかった!」
「僕も楽しかったです。楽と龍は想定外でしたけど」
「自然と集まっちゃうもんだね」
「レコーディング、頑張ってください。発売されたらすぐに買いに行きます」
「ありがとう。天も頑張ってね」
そうして私は天と別れ自宅に戻った。
百くんのこと、どうにかしてあげたいな。レコーディングが終わったら、お兄ちゃんと話してみようかな。