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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第2章 嵐をよぶ女


受付を済ませ、案内された部屋に荷物を置き、とりあえずベッドに腰を下ろす。
急に乗船を許可してもらったはずなのに、部屋はとても豪奢なものだった。

天蓋付きのベッドはまるでどこかのプリンセスにでもなったかのような気分にさせた。
腰を上げて、広い部屋の中を探検してまわった。

部屋に付いているバスルームはもちろんトイレと別になっており、ジャグジーまでついていた。
その隣には「mist room」と書かれたプレートのついた、いわばサウナのようなものまであった。

バスルームに続く広い部屋には、女優が使うようなドレッサールームがしつらえてあった。
たくさんのライトのついた鏡の前には、いくつものスキンケアグッズやリラックスグッズが整然と並べられていた。

一つ一つ可愛らしいデザインのボトルに入っており、眺めているだけでも楽しい気分になる。
備え付けの椅子も、ふわふわとすわり心地のよいもので、思わず何度も座りなおしては感触を確かめてしまった。

ベッドのある部屋とはまた別に部屋もあり、そこには大きな大理石のテーブルが置かれていた。
他にもダーツやビリヤード、バーカウンターまであり、ここでパーティーでもひらけそうだった。

「ここってこの客船の中でもかなりいいお部屋なのでは…」

叔父さんの船とはいえ、無理言って乗せてもらっている身としては、肩身の狭い思いがした。
先ほどの立海や比嘉の子達の様子からすると、中学生達の泊まる部屋は何人かでの相部屋のようだった。

これから始まるハードそうな合宿を前にしている彼らを差し置いて、こんな広い部屋で一人眠るのかと思うと、彼らに申し訳ない気もした。

「叔父さん、姪っ子に甘すぎだよ…」

昔からそうだった。
ぬいぐるみが欲しいと言えば、ものすごい数のぬいぐるみを送ってくるか、あるいは巨大なぬいぐるみを送ってくるか。

お肉が食べたいと言えば、ホテルの最上階できらめく摩天楼を見ながら目の前でシェフが焼いてくれるようなところに連れて行ってくれた。

叔父さんが甘やかす分、うちの両親は厳しかったから、好意に甘えすぎる人間にはなっていないと、自分では思う。

「そういえば、夕飯は大広間で立食パーティーって言ってたっけ」

受付で手渡された案内状に目を落とす。
綺麗な紙に印字されたパーティーの時間は、あと30分ほど先だった。
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