第2章 嵐をよぶ女
一触即発になりそうな雰囲気に、他の中学生達もどうしたものかと気をもんでいる。
忍足くんや鳳くんが跡部くんを抑えようと声をかけるが、跡部くんの耳にはあまり届いていないようだ。
反して比嘉中の面々は木手くんの挑発的な態度は気にも留めず、ただ彼の後ろで佇んでいる。
「あー、もう!これから楽しい立食パーティーなんだよ!イライラカッカッしてたら美味しいものも不味くなっちゃうでしょうが!」
パンパンと手をたたいて、その場の空気を変えようと思った。
思いのほか大きい音が出て、自分でもびっくりした。
その様子がツボに入ったのか、甲斐くん達が笑い出した。
「はぁー、やっぱりおもしろい人やっしー」
「お姉さんあきない人やっさー」
二人の笑い声に毒気を抜かれたのか、木手くんが小さくため息をついて、行きますよ、と二人に声をかけてその場から立ち去って行った。
「美鈴さんの言うとおりや、跡部。あんまイライラせんとき」
「…分かったよ」
忍足くんに肩を叩かれ、跡部くんも肩の力を抜いたようだ。
なんとか不穏な空気を打破することができて、胸をほっと撫でおろした。
私たちはようやく立食パーティーの会場へと向かいだした。