第2章 声を聴かせて〜NJ〜
「いいよ…別にもう、無理して抱かなくて」
「は?何言ってんの、お前」
「しょーくんは…別に俺じゃなくても、いいでしょ?しかも、男の俺なんか抱いてる自分は、不本意なんでしょ」
そう…だったんだ。
翔君を好きだったから…どうしよもなく好きで、諦められなくて…
だから、認められなかったんだ。
翔君は、ただ都合よく抱ける相手が欲しかっただけで…
たまたまそこに俺が合致しただけで…
俺が持っていたような感情など…翔君には無かった、って事を。
付き合っていた、と称される頃には、少しは想いはあったのかもしれないけど…
いや…
あったとは、思いたいけど…
今の俺たちの関係は…それこそ、ただのセフレ、だ。
(やめる必要はないけど、俺にしたら?)
そんな風に、セフレの誘いみたいに言ったニノとの関係の方が…
よっぽど恋人同士らしかった。
「ニノに、本気になったのかよ」
「…そうかもしれない」
「へぇ…あいつ、そんな上手いんだ」
笑ってそう言った翔君は…でも上手く笑えてなくて…
「なぁ、潤…冗談だろ?お前…俺が好きだったろ?」
「…うん…好きだった、よ」
苦しいほど…そこに愛が無いと気付けないぐらい馬鹿になる程…ね。
「もう…やめよ?」
「…ニノんとこ、いくのかよ」
「行かないよ。どのツラ下げて、でしょ」
「じゃあ…」
自分たちの関係を終わらせる必要もないだろ?
って表情で俺を見る翔君に笑い返した。
「しょーくん…ね、やめよ?俺も…今度は、ちゃんとした恋愛、するから。ちゃんと、正面から向き合える人と…抱き合える人と…ね」
「よく分かんねーけど…まぁ、お前がそう言うなら、いいけど?」
そう言いつつも、まだ納得はいっていない顔をしている翔君。
「まぁ…戻ってくんじゃね?てか、気が向いたら戻ってこいよ」
「……バイバイ、しょーくん」
ねぇ、ニノ…
ちゃんとやめたよ
って言ったら…ニノはなんて言う?
翔君には
どのツラ下げて
って言ったくせに…
ついさっきまで、翔君に抱かれていたくせに…
どうしよう…
今、ニノに会いたくて…仕方ない。