第10章 back again〜SNJ〜2
え……?
目を開けたはずなのに…何も見えない。
「ニノ……?」
よやく仕事もひと段落して…俺の家にニノが来て…久しぶりに抱き合って…
だから、きっと動かせない手も、俺の視界を防いでいる目に触れる布も、ニノの仕業なんだと思うけど…
それでも、取り上げられた動きと視覚に不安しかなくて…
「ねぇ、ニノ…いるんでしょ?ニノ、カズ?」
側に誰かが近寄って来たのを気配で感じ…
「カズ?」
「なぁに、潤くん」
「何、じゃなくて。てか、それはこっちのセリフじゃん」
「確かに」
楽しそうに返って来た声に、ホッとすると同時に、訳の分からない状況に怒りもわいてきて…
「手も動かないし、何も見えないんだけど。こんなプレイする程お互い飽きてないでしょ?」
「ははは、こうやって見る潤くんは刺激的だけど、潤くんが言う通り、こんなプレイしなくても、まだまだ潤くんに勃つしね」
「じゃあ、早く取ってよ」
「んふ、ヤダ〜」
「意味分かんねーし」
「だって、潤くん嘘つきなんだもん。だから、お仕置きだよ」
楽しそうにそう言ったニノが近付いて来て、ベッドに座る気配がした。
「嘘って何?俺なんか怒らせる事、した?」
「心当たり、ない?」
「無い」
久しぶりに抱き合ったさっきだって…
お互いに感じてたはずだし、二人一緒にイって…二人で幸せな気分になったって思ってたのに…そう思ったのは、俺だけだったの?
「潤くん、俺に何か隠してる事、ない?」
「だから無いって。なんだよカズ、マジでキレんぞ。怒ってるならハッキリ言ったらいいじゃん。こんなの、卑怯だぞ」
「じゃあさ、俺が何を聞いても答えてくれる?」
「答えるよ」
「俺と翔さん、どっちが好き?」
答えるって言ったのに…
速攻でニノから投げられた問いがあまりに意外過ぎて…そして直球すぎて…
あれからドラマの撮影で殺人的に忙しくなって…
だから、頭から色んな事がすっぽり抜け落ちていた。
そう…
俺の恋人は恐ろしい程人間観察力に長けていて…
俺の変化にも、恐ろしい程敏感だって事を、忘れていた。