第3章 声を聴かせて〜NJ〜 2
ニノへの想いを実感したあの日から、ニノに会いたくて…
でも、自分からは連絡できなくて。
そして…
気付いた。
ニノとこういう関係になってから、俺から連絡する必要がないぐらい、俺が寂しいと思う必要がないぐらい、ニノから連絡をくれていた事に。
(綺麗な虹が空にかかってたよ)
(桜、満開だった)
(今夜は満月なんだって)
写真と共に、ニノが見た風景を送ってくれたり…
(潤くん何してる?)
(潤くんに会えなくて寂しい)
(電話していい?)
(会いに行っていい?)
俺が言わなくても、ニノが言ってくれて…だから、寂しいなんて思う事がなくなっていた。
突然孤独に襲われて泣きたくなったり…
自分には何の価値もないんじゃないかって思いに囚われて怖くなったり…
そんな風に不安定だった俺の全てを肯定してくれて…
(俺は、いつも潤くんを想ってるよ)
って、伝えてくれた。
そんなニノに、俺はどれだけ救われていたか。
ずっとずっと翔君が好きだったから。
その感情はもう俺の生活の一部になっていて、だから見直す事もなく
好きな事が当たり前
になっていたから、その感情が変化していた事にも、気付かなかった。
抱かれて初めて想いの変化に気付くなんて、やっぱり俺は馬鹿だよね。
馬鹿だから、見限られちゃったのかな。
俺がそんな風に自分の気持ちに気付いたあの日から…
ニノからの連絡は途絶えてた。
「ニノ、おは…」
週に2回はある収録が特番続きで飛んでいたから、ニノと会うのはあの日から丸々一週間ぶりで…
連絡を絶ったニノの気持ちは分からないけど、でも会えるのが嬉しくて、楽屋に入ってきたニノに1番に挨拶をしようと張り切って…
その顔を見て、言葉が途切れた。
目深に被られたキャップの下からでも分かる、明らかに悪い顔色。
「ニノ…どうしたの?」
「おはよ」
でも俺の問いには答えず、ニノはそのまま大野さんの横に腰をおろした。
「んーどうしたニノ、ご機嫌斜めか?」
「ちょっと寝不足。足、貸してよ」
そう言って、大野さんの膝に横になったニノは自分の顔に被ってきたキャップを乗せた。
俺と同じ様に心配そうにそれを見ていた相葉さんと俺に向かって大野さんは肩を竦め、携帯で釣り情報のチェックを再開した。
ニノ…
どうしたの?