第8章 *愛=嫉妬*
(焦凍がここまで出来るのを見越して百ちゃんは指示を出したんだ…私は焦凍がここまでの力を持ってるなんて全然知らない
…)
またドス黒い感情が心を支配する。
こんな事思いたくない。こんな感情消してしまいたい。
そう思っていてもどんどん膨れ上がる気持ちを制御することが出来ないのだ。
私は知らない。でもあの子は知ってる……たったそれだけの事。
当たり前だ。私はつい最近焦凍に出会ったばかりなのに対してクラスの皆は四月から一緒にヒーローになるために頑張ってる。
しょうがない事。そんなの分かってる。
でもどんどん自分に自信が無くなってきてしまう。
あの子の方が優秀で個性の使い方も上手い。焦凍に助けてもらわなくても力を制御できる。迷惑もかけない。
あの子の方が愛想が良い。気配りも出来る。
あの子の方が、あの子の方が。そんな言葉はやがて一つの結論に辿り着く。
あの子の方が、焦凍に相応しいんじゃないかな
でも、そう思っても離れる気にはなれない。
この前、焦凍が言ってた。
「ユイ…他の男とあんまり仲良くなりすぎるな」
あの時は意味が分からなかった。
私が好きなのは焦凍だけで、他の人に乗り換えるなんてこと絶対に無いのに…って思ってた。
でも多分、私は今その時の焦凍と同じ気持ちに心を呑み込まれてる。
嫉妬と言う名の、どうしようもない感情に。