第8章 *愛=嫉妬*
「緑谷くん、お茶子ちゃん!」
モニタールームには既に緑谷くんとお茶子ちゃん、そしてリカバリーガールがいた。
「月城さん!ちょうど1戦目が始まる所だよ」
「ギリギリ間に合ってよかった…」
モニターには対峙するようにセメントス先生と切島くん、砂藤くんペアが映っている。
そして、開始と同時に2人の前に巨大な壁が現れた。
「うわ…2人とも凄い」
次々と現れるコンクリートの壁を意図もたやすく壊していく2人。
でも緑谷くんは難しい顔をしてモニターを見つめていた。
「この勝負…厳しいかも」
「どうしてそう思うの?」
「えっとね、切島くんと砂藤くんの個性には時間制限があるんだ。でもセメントス先生には多分それが無いんじゃないかな…だから今は良くても時間が経つにつれて2人の個性の威力が落ちてくると思うんだ」
「なるほど…」
確かにセメントス先生の壁は休むことなく2人の前に立ちはだかる。負けてはいないけれど進むことが出来ていない。
「この実技試験は試験を受ける生徒の天敵となる先生を意図的にぶつけてる。その課題をいかにクリアするかがカギなんだと思う」
「天敵…か」
じゃあ私にもセメントス先生が当てられてるのは何かしらの理由がありそうだ。多分戦っていれば自分でも分かってくる。
そして、この2人も分かってきたようだ。
「個性が消えとる……」
時間が来てしまった2人はセメントス先生の個性に呑み込まれる。
「砂藤・切島チーム、両者気絶によりリタイア」
「やれやれ。初戦から出番かい」
アナウンスを聞いたリカバリーガールが席を立つ。
おもりを付けるハンデとは言ったものの、セメントス先生は殆ど動いていない。動かなければハンデにもならない。
(今から戦うのが怖い……)
プローヒーローの強さを目の当たりにし、おじけづきそうになっている間にも実技試験は進む。
次は梅雨ちゃん・常闇くんペア対エクトプラズム先生。