第8章 *愛=嫉妬*
§ ユイside §
演習試験の日、私たちは試験会場である中央広場に集められていた。みんなそれぞれのヒーローコスチュームに着替えている。
私はまだ出来上がっていないため、体育着での参加だ。
そして目の前には雄英で教鞭をとっているプロヒーローが大集合。
(この大人数で点数付けるのかな……)
「それじゃあ演習試験を始めていく。この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃみっともねぇヘマはするなよ。諸君なら事前に情報を仕入れて何するか薄々わかってるとは思うが…」
事前に聞いた話によると、去年の実技試験はロボとの対戦で対人戦ではないと聞いた。
だが…
「残念!諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
「え」
三奈ちゃんと上鳴くんを見ると、先ほどまでのやる気はどこへやら。燃え尽きた灰のようになっている。
(上鳴くん…!頑張ろうなって言ってたのに!)
「これからは対人戦闘・活動を見据えたより実戦に近い教えを重視するのさ!というわけで諸君らにはこれから2人1組でここにいる教師1人と戦闘を行ってもらう!」
(だからこんなに大集合してたんだ……)
かなりハードルが上がってしまった。ここにいる教師…と言っても全員プロヒーローだ。日夜人の命を預かり、助けている彼らに対して果たして勝ち目なんてあるのだろうか。
「まずは轟と八百万がチームで俺とだ」
相澤先生がニヤリと笑い、百ちゃんと焦凍に目を向ける。
—————ズキンッ。
(ああ、まただ)
いつの日からか分からないけれど、最近明確になってきた胸の痛み。
ある状況を見る度に不安になって、モヤモヤして自分に自信がなくなる。
気づいたからといってどうするわけでもなく、胸の奥に秘めていた。
今回も誰にも悟られないまま胸の奥にこの気持ちを隠す。
そんな葛藤を知る由もない相澤先生は話を進める。