第8章 *愛=嫉妬*
「私の個性は氷と冷気を放出する個性だよ」
「冷気って…氷と同じようなもん?」
「似てるけどちょっと違うかな。ヒーロー基礎学の時も氷じゃなくて冷気を出したの。冷気で形を構成してからそれを凍らせるから形を形成するのが楽なの」
「おっ…おう…?」
冷気で形を構成してから凍らして…?何を言ってるのか分からねぇ…俺のバカがこんな所で発揮されている。
「えっとね、例えば氷で攻撃したら敵によけられちゃうかもしれないでしょ?」
「うん、そうだな」
「でも、冷気なら目に見えないから敵の周りを取り囲んで、一部の範囲だけを一気に凍らせることも出来るの」
「おお!スゲぇ!」
俺だったら冷たいとは感じても個性の範囲がどこまでか目に見えてわからないから下手に逃げられない。
目に見えないってのは凄い個性なんだと今更思う。
(轟の氷と比べたら同じかそれ以上じゃねぇか……)
「まあ範囲が広ければ広いほどその範囲内にいるヴィラン以外の人にも冷気は伝わるし作り出す氷の温度と冷気の温度は一緒だからあんまり乱用は出来ないんだけどね」
「チート特有の悩みもあるんだな……」
「上鳴くんだって凄い個性だと思うよ?体に電気をまっとってたら迂闊に近づけないし」
「そうか…?あ、ありがとな!」
一応初対面の時に使いすぎるとアホ化するって話はした。それでも強いと言ってくれるのは嬉しいし、ユイちゃんは嘘をつく性格にも思えない。
(もはやお世辞だとしても気にしない!)
「プロヒーローになる頃には完全にコントロールできるようになって私負けるかも」
「いやいや!その時はユイちゃんだって今よりもっと凄くなってると思うし!でも俺も負ける気はねぇけどな!」
「そうだね、私も負けたくないかな」
「ああ!まずは次の実技試験頑張ろうな!」
「うん」
ユイちゃんといるといつもの自分を出せる。
無駄にかっこつけようとか相手を上げて自分を落とすようなこともしようと思わない。さっきだって負ける気はねぇって言えた。
好きという気持ちは膨れ上がるのに、緊張しないで話すことが出来る。
好きな人が出来る前に振り向かせよう。前の学校に彼氏がいた事は無いって女子と話してた。
だから、まだきっと好きな人はいない筈だから—————