第8章 *愛=嫉妬*
「SHR始めるぞ〜」
気怠げな声で相澤先生が教卓に立つ。
「え~そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが1か月休める道理はない」
(ですよねぇ……)
雄英高校はただでさえ授業が一日7時間ある。
なのに夏休みはゆっくり休んでくださいなんてそんな事言う筈がない。
(でも嫌じゃないんだよな!なんてったって……)
「夏休み林間合宿やるぞ」
雄英の夏休み恒例行事と言えば林間合宿だからな!
「知ってたよ!やった~~!!!」
「肝試し」「風呂」「花火」「行水」「カレー」「湯浴み」
沢山のワードが教室中を飛び交う。
それぞれ林間合宿でやりたい事は決まっているようだ。
そして俺もある!やりたい事!
(ユイちゃんと親睦を深めていい感じになる…!)
勿論一番は個性や体力の向上。そんな事はこのクラスの全員が分かっている。分かってなくても分からせるメニューを用意していると思う。
(でもそれだけじゃやってらんねぇ!)
高校生なんだからはしゃぎたいに決まってる。
(もう今のうちからいい感じになれる計画を立てておかないと……)
一人で林間合宿の計画を立てようとした時、相沢先生の目が赤く光り、俺は即座に現実に引き戻される。
そして、次の言葉に俺は現実から抜け出すこともできなくなってしまう。
「その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は補習地獄だ」
「えぇ……マジかよ…」
こうして俺の林間合宿の目標は【ユイちゃんといい感じになる】から【まずは林間合宿を普通に楽しむ】に変わったのだった。