第8章 *愛=嫉妬*
「怒ってるんじゃないの。ちょっと感情を表すのが苦手で…気を悪くさせたならごめんね?」
「いや、俺は全然!変なこと言ってごめん!」
やってしまった…。
自分から言うという事はユイちゃん自身も気にしているんだろう。
それをピンポイントで言ってしまうなんて俺は本当にダメな奴だ。
でも、ユイちゃんはそんな事気にしていないように話を続ける。
「良いよ、慣れてるから。むしろ言ってくれたほうが説明できるし誤解されなくて済むから」
「そっか……よかった…」
ユイちゃんは今度は少し笑った。
安心して緊張がふっと解ける。
「そんなに気にしてたの?」
「いや…俺思ったこと直ぐ言っちまうから…」
「ほんっとにそうだよなー!でも俺はそれもいい所だと思うぜ!」
そう言って肩を組んできたのは切島。
「おはよう、切島くん」
「おう!」
切島の誰に対しても分け隔てなく話せるコミュ力は凄いと思う。俺も別に人と話すのが苦手なわけではないが、この時ばかりは切島が神に見えてくる。
「何の話かは知らねぇけどコイツは素直なだけなんだ!あんまり悪く思わないでくれると助かる!」
突然現れた救世主、切島が俺の好感度をどんどん上げてくれる。まさに神。
「僕は切島くんも上鳴くんに負けず劣らず素直だと思うよ」
緑谷も声を掛ける。
「全然気にしてないから大丈夫だって。みんないい人だと思ってるから」
「結局はそこに行きつくよな!」
最初はぎこちなかった会話も自然と盛り上がって、朝の楽しい時間はあっという間に過ぎていった。